みんな、ときどきひとり
「うん」
「後悔しない?気持ち伝えなくて。言ってすっきりすることもあるかもよ」
美和子は真面目な顔で訊く。
「うん、大丈夫。彼女いるし、友達でいたいし。伝える必要ないよ」
今度はさっきよりも強く言えた。
「そっ。後悔しないならいいけどさ」
「頑張って忘れるよ、いつか。まあ当分、彼氏とか出来ないとは思うけどさ」
また無意味にはははと、笑う。
「わかんないよ。出逢いはどこであるかわかんないし」
「でも、巡り逢えてもさ、また好きになってくれないんだろうな」
「なに言ってんだよ。自信持ちなよ。出来るって」
美和子は、椅子にもたれていた背を起こして、わたしの目を見た。
「だって、告られたことないし。両思いにもなったこともないし。ずっと、そんなんだと、誰も好きになってくれないんじゃないかって思っちゃうよ。彼氏がいる美和子にはわからないと思うけどさ」
言いきって、嫌になる。
こんなこと言っても仕方ないのに。
「卑屈だよ、優菜」
卑屈。美和子の言葉に心臓をギュッとつねられたような気分になった。
「誰だって、好きな人に好きになってもらえるかなんてわからないよ。いつ誰を好きになるとかさ。彼氏がいても、いなくても一緒だよ。そんなんじゃ、誰かに告られたりとかしても、信じてあげられないんじゃないの?」