みんな、ときどきひとり
結局その日は、梨花の鉄壁なガードと優柔不断なわたしのせいで、話すことは出来なかった。
それが2日程、続いた翌日。
父と母は大きめの旅行バックをリビングに置いて、朝食を食べていた。
結局、大もわたしも行けないから、金、土に旅行に行くことにしたみたいだ。
「なんか、優菜、元気ないな」と父がわたしの顔を見て言う。
「朝だからだよ」
目玉焼きを食べながら適当な返事をした。低血圧でも何でもないのに。
「そっか。無理するなよ。元気ないのは優菜らしくないもんな」
「はは」
わたしって、そんなに元気なキャラだったっけと首を傾げそうになった。
「大も来れたら、よかったのに」と母が言う。
「まあ、次休みあったら行けるだろ」
「ほら、前に大も温泉行きたいとか言ってたから、連れて行きたかったのよ」
「用事があるんだから仕方ないじゃないか」
「まあ。そうだけど。でもねえ」と母は歯切れ悪く、まだモゴモゴと口先だけで話すように何かを呟いていた。