みんな、ときどきひとり
翌朝、目覚めると珍しく水城くんからの着信があった。
眠っていて、気づかなかった。
何かあったのかなと思いながら、とりあえず携帯をブレザーのポケットに入れた。
その日も当たり前かのように梨花の席は空席だった。
休み時間になって、美和子と机をはさんでお喋りしていると、ブーブーと携帯電話のバイブ音がした。
メールボックスを開くと、mizuのつづりから始まる、知らないアドレスからのメールだった
『水城です。アドレス変わりました。大切な話があるので、昼休み会えませんか?』
いつもと同じ、絵文字のないメール。
昨日の夜も電話くれてたし、何かあったのかな。
気になって、返信する。
メールのやりとりを何回か繰り返して、昼休みに北校舎の美術室前で会うことになった。
「大切な話ってなんだろうね」
美和子は窓に背中をくっつけて寄りかかっている。そのニヤニヤした表情から、何となく言おうとしていることは読み取れた。
それを見通して「告白されるとかじゃないのは確かだね」と言うと、「ご報告お待ちしてます」と余裕たっぷりの表情で笑った。