みんな、ときどきひとり
こんなでかい図体をしているのに、心が小さくなったみたい。
思い返すと、また恐くなる。
さっきの彼女の顔が。
声が。
突き落とした手が。
わたしをどれだけ憎んでいたんだろう。
身体が小刻みに震えだした。
「あれ。おかしいな。震え……止まらない。どうしよう」
携帯と思い出し、手をまた伸ばすけど、うまく掴めない。
水城くんがその震える手を優しく握った。
「大丈夫です」
「うん」
大丈夫、大丈夫。
小さな心の中で繰り返す。
彼は片方の腕で、そっとわたしの身体を抱き寄せた。
わたしの顔が彼のシャツに埋もれるみたいにくっついた。
シャツ越しに彼の温度を感じた。
柔軟剤の匂いなのか、彼の匂いかわからないけどシャボンの優しい香りがする。
「恐かったよ」
そう言うと、彼が背中にまわした腕に少し力が込められたように感じた。