みんな、ときどきひとり
「なのに、その友達の好きな人と付き合ってた……自分が最低な人間にしか思えなかったよ」
心からの声を振り絞って話してるみたいに聞こえるから、わたしだって苦しくなる。
「ごめんね。優菜、傷つけてるの気づきもしなかった」
「違う。違うよ、梨花。
言わなかった、わたしが悪い。
梨花は悪くない」
涙を甲でぬぐいながら梨花は、わたしの顔を見た。その瞳はさっきよりも力強く見えた。
「でも、優菜。
わたし、亮ちゃんのこと好きだったよ、ちゃんと。
すごくすごく好きだったよ」
「うん。知ってた……知ってたよ」と、わたしはまた頷いた。
だって、ずっと一緒にいたじゃん。
梨花のことだって見ていたよ。
亮ちゃんと呼び掛ける梨花の顔。
イルミネーションを見に行ったことを嬉しそうに話す梨花の声。
亮太の手をとる梨花の仕草。
知ってたよ。
好きだったことも。
どれだけ大切かって。
知ってた。
わたしが、本当に見つめなきゃいけなかったのは、梨花をひがむことしか出来なかった、何もしない臆病な自分。
「梨花は、何も悪くないよ」
好きで好きで仕方なかった亮太に気持ちも伝えることもしなくて。
梨花ばっかりって思っていた。
気持ちの矛先を向けるのをずっと、間違えていたんだ。