みんな、ときどきひとり





家に帰ると、人の気配もせず真っ暗だった。

リビングの電気をつける。その明るさを頼りに、隣のダイニングへと移動した。

ふとダイニングテーブルに目をやると、メモ用紙が置いてあることに気づいた。

『今日は、外でご飯を食べてきます。冷蔵庫に昨日の残りのものあるから適当に食べて』と、母からの書き置きだった。

お腹、すいたな。

そういえば、足、痛いな。

冷蔵庫からラップされた皿をとりだし、電子レンジの中にいれ温めを押す。

オレンジの明かりがつくと同時に、クルクルとわたしの夕飯は回りだす。

それをボーッと見つめる。

今日のことが頭を駆け巡る。

お尻も痛いな。

擦り傷、お風呂に入ったらしみそうだな。

お腹、空いたな。







わたしは、ひとりになんて、なりたくない。

ひとりなんか、絶対に嫌だ。


< 197 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop