みんな、ときどきひとり





「この前はどうも」学食で注文する列に並ぶ水城くんを見つけて言った。

「後ろから、なんなんですか」

ぎょっとした顔つきでわたしを睨む。

「おかげさまで、元気です」

「ああ。あれから大丈夫なんですか。あっ、A定ひとつ」話しながら、注文した。

「うん、ぱったり」

「それは、良かったですね」と言いながら、定食を受け取る。

「じゃあ、とりあえずもう安心ですね」と言ってテーブルへと向かって行った。

その言葉は、なぜか。

それは、わたしを「もう関係ないですね、俺ら」と突き放された気分にさせた。

なんだよ、そんなに心配してもいないわけか。

あのとき、心配して来てくれたのは嘘か。

走ってきてくれたのも気まぐれか。

って、まあ一緒に遊んだことはあるけど、そんなに仲いいわけでもないし。

友達と言えるくらい、彼のことを知っているわけでもないし。

今なんか、学校で会えば話すくらいなんだから。

そんな態度は当たり前と言えば、当たり前なんだと思う。
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