みんな、ときどきひとり
「もう寝ますか?」
「んー。まだ、眠くないかも」
彼は、テーブルの上にあるリモコンを取って、テレビをつけた。
何回かチャンネルを切り替えて、指を止めると、若手芸人が突っ込まれている画面に切り替わった。
ソファに座る水城くんと、床の上に座ってソファに寄りかかるわたし。
学校じゃ考えられない風景だなと笑いそうになった。
「そういえば、水城くんのクラス、文化祭なにやるの?」
「文化祭?ああ。お化け屋敷やるみたいですよ。すっげーみんな張り切ってますね」
大きい板にペンキを塗っていた光景がよみがえった。
「水城くんだって、この前残って作ってたじゃん」
「帰ろうとしたら、捕まりました」
そっけない答えになぜか私は口元が緩んだ。
「ふうん。でも、お化け屋敷だったら、わたし行けないなぁ」
「そう言えば、苦手とか言ってましたもんね」
「そうなんだよね。お化けって昔からダメなんだ」
「ふうん」と言って、チャンネルを変えると、ろうそくに囲まれて座る、暗い異様な雰囲気の中で早口で話す男の人が映った。
この人って、確か怖い話を語ることで有名な芸能人だ。
「そしたらですね、おかみさんがわたしにですね。そんな女の人いませんって言うんですね。おかしいなーおかしいなーと思って……」と、話は続く。
どう考えても、恐い話。