みんな、ときどきひとり

水城くんを睨みつけた。

「あのお……恐いの嫌いって言ったよね?チャンネル変えてくれない?」

「いや、俺これ見たいんで」

リモコンを奪おうと、テーブルの上に手を伸ばしたが、それよりも先に水城くんの手がそれを奪った。

テレビに近づいて、消そうかと思っても、恐い場面を想像すると足を動かせなかった。

信じられない。

クッションで顔を隠しながら両手で耳をふさいだ。

こいつめ。最近、嫌みも言わないから油断していた。

あとで、蹴り飛ばしてやる。

と、またもや、してやられた感でいっぱいになる。

それなのに、そんな姿が面白いのか、水城くんはわたしを守っているクッションを後ろからひょいと持ち上げて奪った。

「ちょっと!返してよ!」と、彼の持っているクッションに手をやった。

そのとき、雷鳴が響いた。思わず叫んでしまう。ソファに身を寄せた。

同じような光と音が何度も繰り返され、冷静になれるまで、少し時間がかかった。心臓は刻んでいくのが速くなっている。

「これは、近くに落ちましたね」と水城くんの声がして、ようやく顔をあげた。
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