みんな、ときどきひとり

結局、わたしがベッドで彼は床で毛布にくるまって眠ることになった。

「明日、身体がっちがっち決定ですね」

「あはは。ごめんごめん。じゃあ、上で眠る?」

「下でいいですよ」

首だけをそっちに向けるとベッドのほうを向いて横になっていた水城くんと自然と目が合う。

なんだか、恥ずかしくて目を逸らしてしまった。

その思いが彼に届いたのか、水城くんが毛布を上に引っ張りながら、わたしに背中を向けた。

「水城くんの兄弟って仲いいよね。羨ましいな」

「普通じゃないですか」

「そう?うち弟いるけど、大違いだよ」身体を横にすると、水城くんの後頭部が目に入った。

「仲、悪いんですか?」

「小さいときは、仲良かったんだけどね。最近、あんまり話してないかも」

「ふうん」

そうだ。

小さいときは仲良かったんだ。いつも、大は私についてくるから一緒によく遊んでいた。

なんで話さなくなったんだっけ。

大が反抗期だからだっけ。

いつから話さなくなったんだっけ。

やっぱりうまく思い出せなかった。

「わたし、弟とお父さん違うんだけどね」

「はい」

「今のお父さん、優しいんだ。
わたしが甘いの好きだからって、ケーキ買ってきてくれたり、なんでもないことでも褒めてくれたりしてくれるの。
気を遣っちゃって。
家族作りたいんだろうね」

雨の音がする。

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