みんな、ときどきひとり

「おはようございます」

リビングに行くと、キッチンでお姉さんが料理をしているところだった。

「あっ、おはよう」

「腰、大丈夫ですか?手伝いますけど」

「いいよ。座ってて」と言いながら、キッチンの下に何かあるのかお姉さんが屈む。同時に「いたっ!」という声が響いたかと思えば、その姿勢のまま固まっていた。

「ごめん、腕かしてもらっていい?」というお姉さんを助けて、ソファに座らせる。

「ああ、もう情けないわ」悔しそうな顔をした。

「あの、ご飯つくりましょうか?」と言ったわたしに遠慮がちに首を振ったけど、2度目の「いたっ」と声をあげたときには、「お願いしてもいい?」と苦笑した。

お姉さんが作るつもりだったオムライスとサラダと野菜スープを作りおわったときには、水城くんも起きてきて、眠そうな顔をしてほのかちゃんの相手をしていた。

適当に取りわけて3人で食卓を囲む。口にあうのか、不安だった。

正直、料理はそんなに得意ではないからだ。オムライスも少し形を崩してしまったし。

「おいしい」

予想に反したお姉さんの声がした。

「ほ、ほんとですか?すみません、あんまり料理は得意じゃないので」

「えっ?おいしいよ」目を丸くしてお姉さんは言う。

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