みんな、ときどきひとり

スーパーを出る。水城くんはトイレットペーパーと大きな袋をひとつ持つ。わたしは小さい袋をひとつ手に持って歩いた。

「あっ」と、また思い出した。

「今度はなんですか?」水城くんは立ち止まった。

「手嶋くんのメール、返事してないや」

「手嶋って、誰ですか?」怪訝そうな顔をする。

「2年の子だよ。ハーフみたいな大きい子なんだけど、見たことないかな?いつも、前髪結んでる感じの」

「なんとなく、わかった気もします」

「その子に、今日遊ぼうとか言われて返事してなかったんだ。どうしよう?それって、感じ悪いよね」

昨日、それどころじゃなくてすっかり忘れていた。充電も切れてしまったし、とりあえず返事のしようがなかった。

「友達なんですか?」

「友達って言える程仲良くないけど。最近知り合ったばっかだし」

「ふうん」

「どういう子なのかな?なんか、噂だと軽いとか聞くし。やっぱ、からかってるだけだよね?」

「さあ。俺は、仲良くないからわかんないですけど」

水城くんの足が前に進み、わたしも合わせて歩いた。

さっきより気のせいか、早足になっている気がする。
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