みんな、ときどきひとり
「あっ。そうだよね、ごめん」
素っ気ない態度に慌てて謝る。
「俺はわかんないけど。そんなに気になってるんだったら遊んだらいいんじゃないですか」
「えっ?」
「気になってるなら遊んだり付き合ってみたらいいんじゃないですか。何もしないで考えるより明白ですよ」
その答えに言葉が詰まる。それに気づいたのか、水城くんが横を歩くわたしをふっと見つめた。
あっ、何か言わないと。
「そ、そうだよね。そうだよね。とりあえず、仲良くなってみたほうがいいんだよね。良くわかんない人のこと考えるより確かだよね」
「だと思いますけど」
その横顔にそっと呟いた。
「ねえ、水城くんは好きな人、出来た?」
「出来ませんよ」とあっさり言う、その声は、思いっきり投げたボールが弾けたみたいだった。
なんだろう。ショックを受けた、という言葉が合うのかもしれない。
2人の間に透明な壁が出来たような感覚が、なんでこんなに胸を苦しくさせるんだろう。
水城くんの早足の後ろを遅れて歩いた。
昨日欲しがった手は、今日は買い物袋とトイレットペーパーで塞がれていて触れそうもない。