みんな、ときどきひとり
「でも少し不安はあったかなぁ……ほのかのときもだけど」
テレビを見つめたままお姉さんは呟いた。
その目は水城くんと同じような優しいような寂しいような目をしていた。
さっきまでのお姉さんと別人に見えるほど。
「不安って?」
「ん?わたしなんかが育てられるのかなとか。まあ色々。そんなことより、修とは、どうなの?」
表情を塗りかえるような明るい笑顔に変わった。
「えーっと。どうって言うと?」質問の意図がわからず、訊き返す。
「ほら、付き合ってはいないのよね?でも友達って関係なの?」
「んー。友達……なんですかね」
自信なさげに答える。
彼が、わたしを友達と見ているのか知り合いくらいに思っているのかわからなかったから。
「なぁんだ。そっかあ。残念。ほら、昨日楽しそうな声が聞えたからね。どうなのかなぁと思って」
昨日の夜、水城くんに抱きついてしまった自分を思い出して、慌てた。
「ごめんなさい。うるさかったですよね」
「ううん。そうじゃなくてさ。修のあんな楽しそうな声聞くの初めてな気がしたから。いい感じな雰囲気とか勝手に思っちゃって。あと、こうやって友達を家に連れてくるのもないからさ、実家でも」
「そうなんですか?」
「うん。なんか、修ってあんま他人にはって言い方変だけど……感情見せないからとっつきにくいでしょ?」
「そうでもないですよ」と、言いながらも初めて一緒に帰ったときの冷たい水城くんを思い出した。
軽蔑するような目で見られた日のことを。
「本当に?気遣わなくていいよ。わたしもこいつわけわかんないとか、しょっちゅう思うし」