みんな、ときどきひとり

だけど、初めて会ったときに見ず知らずのわたしを介抱してくれた。

夜の公園にいるとき、息を切らしてわたしを探してくれた。

わたしの殴られた頬の跡を気にしてくれた。

わたしはゆっくりと横に首を振った。

「お姉さん、水城くんは……修くんはとってもいい子ですよ」

それを見て安心した様な微笑みを浮かべたあと

「ありがとう。
だからね。
わたしは修の世界を変えてくれるような子がいたらいいなって思ってたの。
それが、優菜ちゃんだったらいいなって。
欲張りだよね」

と、困ったような笑顔を向けた。





夕方になり、テレビも再放送のドラマに切り替わる。熱血教師が「お前が大切なんだ。当たり前だろう」と生徒を抱きしめている。

きっと、ここは泣くところだろうな。感情移入のしにくいドラマだと思った。

テレビに飽きたのか、お姉さんがご飯の準備をしようかなと呟いた。

わたしも手伝うことにして2人でキッチンに立つ。やらなくていいと言われたけど、泊まらせてもらったしお礼をしたかったんだ。

「優菜ちゃん、ごめんね。気遣わなくてもいいのに」と腰を痛めながらもキッチンに立つお姉さん。

「いいえ。料理好きだし。人の為に何か作るの、好きなんですよ」

あーあーとほのかちゃんの声が聞こえる。

「頑張らなくていいんだよ、別に」

「えっ?」

「わたしなんて、いっつも適当だし。人の為なんか考えないしね」とほほ笑んだ。
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