みんな、ときどきひとり
「うん。取れない」
振り返ると、水城くんが立っていた。
フウと呆れたような溜め息を吐いたあと、取り出し口に手をやった。
「こんなの小学生でもやらないんじゃないですか」
「ひっどい言いかた」
「取れましたけど。パック、ぼこぼこですよ」
水城くんの手にあるジュースは角あたりが少しへこんでいて、買ったばかりのものには見えなかった。
「ありがとう」
受け取りながらお礼を言うと、普通に水城くんと会話していることに気がついた。
なんだ。自分の気にしすぎか、と思うと自然と笑みがこぼれてきてしまう。
水城くんは黙って、自販機のお金を入れレモンティーのボタンを押した。
取り出し口からパックジュースを取り出すと言った。
「カレーうまかったです。ごちそうさまです」
「あっ、ううん。いいよ。良かった」
まあ、お姉さんと一緒に作ったからおいしかったのかもしれないけど。