みんな、ときどきひとり

少し緊張しているのか、心臓がドキドキしているのが、よくわかる。

だから、そんなこと考えてしまうのかもしれない。

一瞬、見慣れた校舎が、とても眩しく感じた。

「次だって!」遠くから、指示をする声が聞こえた。

「ねえ、円陣組んじゃおうか」の声で2組全員で丸くなった。

「いくぞ!3年2組!!」

「おーっ!」

耳に響く歓声が、とても心地よくて、笑った。





ステージは無事に終わった。

はっきりいって、がむしゃらに踊っただけって感じだったけど、ステージの周りにいた人たちは大爆笑してたし、最後に飛び入り参加の掛け声に何人かが混ざって踊ってくれた。

何よりわたしが楽しかった。

それだけで、大成功なんだろうな。

第1部のステージが終わり、わたしたちは教室へと戻った。

クラスで出す模擬店の準備をする為だ。

「暑い」とか、口ぐちに言うけど、みんなどこか興奮した表情が抜けきらない。

黒板には今日のタイムスケジュールが書いた紙が張り出されていた。

そこには11時から12時までわたしたちが出店当番となっていた。

といっても、店が始まるのは、11時からだから今から下準備をしなきゃいけない。

「よっしゃ。作ろう!焼そば!」と、美和子が言い出すとそれが号令かのように周りの子たちがイスや机を並べたり準備を始めた。

「ていうか、この店の店員、みんなヤンキーだよね」

見渡しながら美和子が言う。

「ガラ、悪い?」

「ヤンキー焼そば」

「ヤン焼きだね」

無駄に略して笑う。

「優菜ちゃんいますか?」の声で、みんながドアの方向を向いた。

「手嶋くん」

彼がこうして教室に現れるのも最近では、恒例行事みたいになっている。
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