みんな、ときどきひとり

「いつ好きになったの?ちょっと、あんだけ否定してたのに!」美和子が肘でつついてからかってくる。

「最近、なのかなぁ」

本当、いつから好きだったんだろう。

気づくの、遅かったかな。

気づいていたのなら、もっと彼に優しくできたのかな。

そんな自分もどうかと思う。

恋愛感情論とか置いておいて。ただ、人に優しくできないなんて。

ううん。好きだから、できなかったのかもしれない。

とか。

今さら、考えたって仕方ないのに。

「あの子ならうまくいくんじゃない?」

美和子は言うけど、かぶりを振るしかできなかった。

「優菜?」

「はは。でも。もう話も出来なくなっちゃった。変なこと言っちゃったし」

「変なことって?喧嘩したの?」と、梨花が訊いた。

「喧嘩っていうより、絶交に近いかも」と力なく答える。

少し泣きそうだって思った。

この前あった出来事をかいつまんで話しながら肉と野菜を炒めると、色を変えジュージューといい音がする。

「そっか」と、さっきまで笑っていたはずの美和子が、少し哀しげに眉根を寄せるから、また、哀しい気持ちになってしまった。
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