みんな、ときどきひとり
だけど梨花が、わたしの腕をとる。
「とりあえず、今わかるのは焼そばを焼いてる場合じゃないってことだよ。優菜」
「そうだよ。誘っちゃえ誘っちゃえ!」
美和子もわたしの手から箸を取り上げた。
「誰を?」
「水城くんに決まってるでしょうが!!」
2人の声がそろったかと思うと、無理矢理、背中を押されるような形で教室を閉め出されてしまった。
「え。ちょっと、待って。無理だってば」
「だって、このままでいいと思ってないでしょ?」
「そうだけど」
「優菜」と、梨花は言った。
「解けない誤解はないよ。頑張れ!」
そう言って、笑った。
そうだ。梨花と喧嘩をした日、もう友達には戻れないのかと思った。
だけど、今、こうやって、話をして、わたしの悩みを真剣に訊いてくれてるんだ。
失わずにすんだ。
大切な人を。
なら。
なら、水城くんだって、話せば。
もしかしたら。
だけど、そう考えて、すぐ、首を横に振ってしまいそうになる。
「優菜。とりあえず、笑顔」
と、美和子が口の端を持ち上げてみせた。