みんな、ときどきひとり
水城くん。
水城くん、わたしはあれから何度も君を見ています。
教室の窓から見える登校する君。
購買部の自販機でジュースを買う君。
教室の廊下側の席で机に突っ伏している君。
学食で一人でご飯を食べている君。
見えるのに、話したいのに、話せないのは想像以上に辛いです。
君は辛くなんかないんですね。同じことをしているのに。
胸が潰れそうになっていく。こんな思いは初めてです。
山のない胸はさらにしぼんだ気さえしてきて違う意味で泣けてきます。
涙は、振られた日から、じわじわと量が増えてきているようにも思えるけど計ってないから嘘かもしれません。
例えば。
例えば、好きという気持ちに形があって、それがとてつもなく大きくて、甘くて、優しくて、柔らかくて、世界中の誰もが「彼をこんなに愛しているのは君しかいないでしょう」とか言って、ふざけた恋愛金メダルをくれたとして、喜んで、君に見せたとしても。
君は好きにはなってくれないんだよね。
なら、こんな気持ちはわたしがわかってればいいのかな。
なのに。
わたしが泣いていても君は平気だから、そんなことでまた哀しくなるんだよ。