みんな、ときどきひとり
「そう?ハーフか。小学生のとき、ハーフだからって、いじめられてる子いたな」
ふと、そんなことを思い出したけど、こんな明るそうな子はそんなことないのかな。
昔からモテモテキャラっぽいもん。
「俺も幼稚園のときは、いじめられてましたよ。言われない日なかったような思い出が」と言うから、驚いた。
「でも、小学校行ってから、いじめてきた奴に思い切って殴りかかったらあっち大泣き。逆に親となぜか謝りに行ったって言う話が……」
「はははは。ほんとに?どっちがいじめっこかわからないね」
「本当っすよ。まあ、そんな外見とかでからかう奴なんかまったく相手にしませんけどね。
俺は俺だから。
人が傷つけたくて言ってきた言葉は耳に入りませんもん。
やべ、名言出ましたね」と、キメ顔を作って見せる。
「どこが」思わず笑った。
だけど、わたしは、手嶋くんが、モテる理由が少しだけわかった気がした。
ちゃんと自分を持っていて、地に足をつけて立っているそんな大人っぽさが魅力にも感じたから。
夕方を過ぎてご飯をどこかで食べようと通りをプラプラ歩いた。
「なに食べようかな」とブツブツ呟きながら歩くけど、そっちまで行ったら、トムボーイまで行ってしまうよ、と心の中は気が気じゃなかった。
ふと彼が足を止める。
「プリクラ撮んない?」
「プリクラ?」と言うわたしの訊き返す言葉を流して、彼は目の前にあるゲームセンターへと入って行った。
2人っきりで、プリクラって……。
いやいやいや。それはちょっと、ど緊張だ。