みんな、ときどきひとり
なのに結局、言われるがままなわたし。
とりあえず、密室空間に恐れをなしたわたしは、くっついてこないように手嶋くんと適度な距離を保ちながらプリクラを撮ってみた。
出来あがったばかりのプリクラを手にする。
なんか全部、へっぴり腰になっていて、情けない。
それにしても、わたし、顔薄いな。
手嶋くんに対抗するわけでもないけど、隣に並ぶとそれが強調されて哀しくなった。
そんなのお構いなしに、彼は嬉しそうに、ハサミでプリクラを2等分に切っている。
「あれ、賢斗?」鼻にかかった、高い女の子の声がした。手嶋くんてそう言えば賢斗じゃなかったっけ。声の方向を見た。
「真理恵ちゃん?」
「あ。優菜さん!」となぜかわたしに抱きついてきた。
真理恵ちゃんは、ベージュの総レースワンピースを着ている。
前はもっと派手な感じがしたのに。イメージが全然違う。
「え?知り合い?」と手嶋くんが大きな目を更に大きくして驚いていた。
2人は、どうやら同じクラスらしい。
「優菜さん、背高い」と真理恵ちゃんは屈託なく笑う。
今日は、高めのサンダルを履いていたから身長がいつもより高かったんだ。
手嶋くんの背がわたしより高いから気にならなかっただけで、真理恵ちゃんと並ぶとまるで巨人だった。