みんな、ときどきひとり

「つうか?2人付き合ってるんですか?長身カップルでお似合いなんですけど」と冷やかしの言葉をかけてくる。

「ち、違うよ!」

つい、大きな声で強調してしまった。

「そこまで、全否定しなくても」と手嶋くんは隣ですねた。

だって、真理恵ちゃんと水城くんは同じバイトだし、変なことやっぱり言われたくないんだ。

未練がましいんだけど。

わたしに彼氏が出来ようが出来まいが、水城くんにとってはどうでもいいことなんだけど。

やっぱり、まだ気になる。

「あ、プリクラ見せて」と真理恵ちゃんは気にする様子もなく、手嶋くんの手からプリクラを受け取った。

そういえば、真理恵ちゃんは今日何してるんだろう?

これから、バイトって感じでもないよね。

メイクもばっちりだし。髪の毛もグリグリに巻いている。

「デート?」

思わず訊いてみた。

「はい」

嬉しそうな顔をする。

だから、今日は雰囲気が違うんだと納得する。

やっぱり恋する女の子って可愛いな。

それに比べて、わたしはただの楽な格好。

「お前、彼氏いたっけ?」と、手嶋くんがにやけた顔をした。

「ふふふ」

意味ありげに真理恵ちゃんは笑う。

「まじか。いつの間に」と、話しこんでいる2人の背後。
< 265 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop