みんな、ときどきひとり
「つうか?2人付き合ってるんですか?長身カップルでお似合いなんですけど」と冷やかしの言葉をかけてくる。
「ち、違うよ!」
つい、大きな声で強調してしまった。
「そこまで、全否定しなくても」と手嶋くんは隣ですねた。
だって、真理恵ちゃんと水城くんは同じバイトだし、変なことやっぱり言われたくないんだ。
未練がましいんだけど。
わたしに彼氏が出来ようが出来まいが、水城くんにとってはどうでもいいことなんだけど。
やっぱり、まだ気になる。
「あ、プリクラ見せて」と真理恵ちゃんは気にする様子もなく、手嶋くんの手からプリクラを受け取った。
そういえば、真理恵ちゃんは今日何してるんだろう?
これから、バイトって感じでもないよね。
メイクもばっちりだし。髪の毛もグリグリに巻いている。
「デート?」
思わず訊いてみた。
「はい」
嬉しそうな顔をする。
だから、今日は雰囲気が違うんだと納得する。
やっぱり恋する女の子って可愛いな。
それに比べて、わたしはただの楽な格好。
「お前、彼氏いたっけ?」と、手嶋くんがにやけた顔をした。
「ふふふ」
意味ありげに真理恵ちゃんは笑う。
「まじか。いつの間に」と、話しこんでいる2人の背後。