みんな、ときどきひとり
「あっ、来た来た」と、頬を膨らませてたかと思うとコロリと表情が変わり、瞳を輝かせた。
その笑顔を見るとこんなことを考えてる自分がすごく心の狭い女の子に思えてくる。
梨花といると楽しいし好きなのに。
ごめん、梨花。
梨花はきっと、こんなこと考えて落ち込むこともないんだろうな。
そう思いながら、視線をこっちに向かってくる2人組の男性に向けた。どうやら彼らが梨花の好きな人とその友達らしい。
「ごめん、待った?」
爽やかな笑顔を梨花に向けた。
整った顔をしていて梨花が言うようにかっこいい。
きっと、モテるんだろうな。
横にいるもう1人の友達も20代前半くらいで、短髪の髪に優しそうな顔をしていて悪くない。
身長もわたしより高いし、なにかスポーツをやってるのか、軽く日に焼けていて、筋肉質の腕が見える。
「店、予約してあるから行こっか」と言われ、2人の2、3歩後ろを黙って着いて行った。少し緊張していた。
梨花は小声で、「どう?」と訊いて来るけど、「わかんない」って笑った。
その後ろ姿を見て、わたしはこの人のことを好きになるのかなぁ、なんて人事のように思った。
まだなにも話してもいないのに、何考えてるんだろう。