みんな、ときどきひとり

会いたかったけど。会ったら気まずくなるのが目に見えてるし。

これで、よかったんだ。

大体、振った女が自分のお姉さんちにいたら嫌だよね。

お姉さんに取り入ってどうにかしようと企んでると思われちゃうだろうな。

嫌われるのは、やっぱり嫌だった。

リビングに行くと本当に大家族で食べるのかと思うくらいの大量のとうもろこしが茹でて置かれていた。

「ほのかちゃんと2人だけなのに、こんなに茹でたんですか?」

というか、お姉さんひとりと言っていいか。

「茹で始めたら楽しくなっちゃって。あ、お土産にも持って帰ってね。おいしいから」とお姉さんが言うように、一口食べると、甘みがあっておいしかった。

「久しぶりに食べました、とうもろこし。なんか、懐かしいな」

なぜか浮かんできたのは、小さい頃のわたしと大がとうもろこしを半分にして食べている姿だった。

それ以来、食べてなかったわけじゃないと思うんだけど。

「最近、修と会ってる?」

「えっ?夏休み入ってから会ってないですね。元気なんですか?」

なぜか、嘘をついてしまった。

「最近、忙しいみたいであんまり来ないんだよね。まあ、元気なんじゃないかな」

そっか、忙しいのか。夏休みだもんね。

彼女が出来たのもあるかもしれないけれど。
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