みんな、ときどきひとり
「乾杯!」
グラスを手にとり、乾杯をした。4つのグラスがカチーンと響く。
男女、向かいあうような形で席についてひとりひとり自己紹介をした。
あとは当たり障りなく、2人が同僚であることとか、わたしと梨花が同じクラスだとかそんな会話をする。
「そういや、2人はどん位彼氏いないの?」
少し打ち解けてきた頃、彼の友達が質問してきた。
そういや、この人の名前、なんだっけ。
自己紹介されたのにもう名前を覚えていない。
それにしても嫌だな。なんで、こんなこと訊いてくるんだろう。
彼氏なんかいたことないからこの手の質問は苦手だった。
「あっ、ごめん。嫌だった?怒ってる?」
「へ?」
少し困り顔でわたしを見て目が合う。
あっ、わたしに訊いたのかと、そこで気づいた。
「怒ってないよ。こういう顔なんです」と、なるべくの笑顔で返した。