みんな、ときどきひとり
「優菜ちゃん。辛くなったら話訊くから、言ってくださいよ」
「うん」
「また、胸貸しますよ」と、また腕を広げてみせる。
「はははは。胸はいらないよ」
そう言って笑うと、彼がわたしの頭を手で引き寄せ、おでこに優しくキスをした。
「あと、いつでもチューで慰めてあげますから」と言って歯を見せて笑う。
「び、びっくりさせないでよ。いらないよ。もう、油断したら何されるかわからないね」
おでこを押さえて訴えると手嶋くんも笑った。
さっきから、隠してばかりだ。
わたしをこんなに必要としてくれるのに、なんでダメなんだろう。
わたしをこんなに思ってくれているのに、なんでダメなんだろう。
水城くんじゃなきゃ、なんでダメなんだろう。
わたしはどうしたいんだろう。
だけど、わたしもこんな風に。
いつか、誰かを愛したい。
優しさで溢れる程、いつか、誰かを愛したい。
本当は、ただ自分が、そうなりたいだけなのかもしれない。