みんな、ときどきひとり
そんな雰囲気を気にすることもなく、梨花が口火を切った。
「わたしは、1ヶ月くらいかなぁ」
梨花は亮太と別れた後にも何人か彼氏がいた。その人を思い出してるように見えた。
「1ヶ月か。じゃあ、最近じゃんね。寂しいじゃん」
「そうだねぇ。だから、彼氏欲しいんだけどね」
目の前にいる彼のことを意識してる梨花を知ってか知らずか、その彼はわたしに話題を振ってきた。
「優菜ちゃんは?」
彼氏いない歴17年です、なんて、この空気の中で言えるわけがない。ほっといてくれ。
「わ、わたし?うーん。まあ、けっこういないかな。あはは。みんなは?」
笑ってごまかして、早く次の話へいかせようとしたのに、彼には通じないみたいで、「けっこういないってどれくらい?1年くらいとか?」と、また訊かれる。
そこ掘り下げなくていいのに。
「う、うん。そんくらいかな?」
曖昧に答えて、適当に相槌をうつ。
「ほんとに?そんなにいないんだ。意外!」
「だね。可愛いのに。もったいないね」
1年はそんなにいないグループに入るのか。その言葉に、心のどこかがチクリと痛む。
だって、本当は一度も付き合ったことがない。そんなこと言ったら、ひくに決まってる。
ああ、もう。可愛いとか社交辞令もいらないよ。
どうせ、怒ってるような顔だし。
話をさえぎりたくて、目の前にあるグラスを一気に飲み干した。
みんなの歓声が耳に届いた。
合コンなんか、やっぱり嫌いだ。