みんな、ときどきひとり
それから、修くんが、小2のときに同じクラスだった男の子の名前を言って、憶えてる?って訊いてきたんです。

一瞬、誰かわからなかったんですけど、わたしのことをブスとか虐めてきた男の子のことだって思いだしました。

憶えてるって言ったら、実は、その男の子が、わたしのこと好きだったって言ってきて。

虐められた記憶しかないから、わたし、すごい驚いて、嘘だとか言って慌ててしまったんです。

そしたら、修くんが笑ったんです。わたしを見て。

そうやってたらいいんじゃないの?って。

なんかわかんないけど。最近、そうやって笑ったり泣いたり感情出したって損しないんじゃないかと思う。まあ、笑いたくなったらとかでいいけどって。

そういえば、わたし人前で大笑いしたり、こうやって、人の胸で大泣きしたりするのっていつぶりなんだろうって、考えました。

そんなことしたことあったのかって。

ずっと、感情を押し殺して生きていたような気がしたんです。

急に修くんは言ったんです。

三田村のこと好きになる奴はいるよ。三田村も俺なんかより、そいつのこと好きになるよって。

だけど、わたしが彼以外の人を好きになるとか。

わたしが誰かに好きになって貰えるとか。

そういうこと思えるはずもなくて。

だから、そんなことないって言いました。

そしたら、

俺が言うのは無責任だけど。

三田村、大丈夫だから。

俺がそう思うってことは誰かもそう見てるんだと思う。

だから、もうあんなことしなくてもいいんじゃないかって気がする。
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