みんな、ときどきひとり
わたしが小学校高学年くらいのときに、2人で留守番してたことがあった。
大が言うことを聞かなくて、イタズラばっかりしてるのを見て怒ったわたしは、大を家の外にだして鍵かけたんだ。
あの雨の日の夜、母がわたしを追い出したみたいに。
ほんの軽い気持ちだった。
数分位閉め出すつもりだった。
反省すると思って、母の真似をしたんだ。
そしたら、母が帰ってきて、玄関の前で泣いてる大を見つけて、わたしを叱った。
「なんで、こんなことをするの?」
ひどい怒りようだった。
叩かれた頭は痛くて、痛くて仕方なかった。
わたしだって泣いた。
じゃあ、わたしにはあのとき『何でこんなことしたの?』
そのとき、心の底から思った。
大は特別なんだって。
それから、大といるのが嫌になって、習い事とか勉強とか友達と過ごす時間を増やして大と遊ばなくなったんだ。
男の子のくせに大人しくて、引っ込み思案で、お姉ちゃんっこだった、大。
いつも一緒だったのに。
わたしが大を突き放したんだ。
大といつから話さなくなったんだろうって思ってた。
反抗期だからじゃない。
わたしが大を遠ざけたんだ。
わたしが、大をひとりぼっちにさせたんだった。