みんな、ときどきひとり
ポトッと、火の消えた手持ち花火を落としてしまった。慌てて拾う。
訊かなきゃ良かった。今日だけはって、思ってたのに。
馬鹿だな、わたし。自分からつまんなくさせてる。
「そっか。真理恵ちゃんとうまくやってるんだ」
そう言うのがやっとだった。笑えてるかな。暗くて、良かった。
「ぷっ」と、水城くんが噴き出した。
「へ?」と言うと、彼の手持ち花火がわたしの顔を照らす。
「誤解してません?」
「誤解?だって、デートって言ってたよ、真理恵ちゃん」
「ああ」と言うと、「俺じゃなくて、タローとですよ」と言った。
「え?タローくんと?もしかして、2人付き合ってるの?」
遊園地での息ピッタリな2人の姿が浮かんだけど、仲がいい友達だと思っていた。
あの日は、水城くんと真理恵ちゃんが、ずっと一緒にいたから。
「付き合ってないですよ。タロー、彼女いるし。2人きりで遊べないから。だから、あの日最初は3人で集まって、俺だけ先に帰って、2人で遊んでもらったんです」
デートと嬉しそうに言った真理恵ちゃんの顔を思い出す。
ということは、好きなんだ。
でも。それって……完璧な片思いってことだよね。それをどうにかしようとしてたってこと?
水城くんに協力して貰ってまで。
「なんか、切ないね」
そんなこと思うと、しゅんとしてしまう。