みんな、ときどきひとり
結局、カラオケではソファに横になって終わってしまったけど、酔いはどうにかさめた。
2人と別れて、梨花と一緒に駅へと向かう。
街は終電へと向かう人でごったがえしていた。
「楽しかったね。友達どうだった?番号とか聞いたの?」
「まあ普通かな。番号の交換とかしなかったけど」
「普通?ふうん。感じ良さそうだったのに。でもさ、今日わかんなくてもさ、これから遊んでみたら好きになるかもよ?訊いてみようか、番号?」
確かに友達は悪い人ではなかったけど、特に興味を持つわけでもなかった。
さっきまでいたのに、顔が薄っすらぼやけて思い出せないし。
「いいや、なんか面倒くさいし」
「また?そんなんじゃ、彼氏できないよ?」
「彼氏なんか、いらないよーだ」
すねた口調で笑って言う。
梨花にはわからないよ、こんな気持ち。
興味が湧かない人に執着心も好奇心も湧かないってこと。
結局、出逢いの場なんか行ってもなにもないんだ。
わたしなんか、本当になにもない。