みんな、ときどきひとり

「昼寝より、先輩のこと好きだし」

思わず身体を離し、ぱっと、彼の顔を見た。

嘘、とわたしは言った。

「好き、とかわかんないって言ってたじゃん」

嘘。そんなこと、どうだっていい。

「言ってました」

「誰も好きにならないって言ってたじゃん」

そんなことも、本当に、どうだっていい。

「言ってました」

わたしたちの目線は一緒だった。

「じゃあ」

じゃあ、それは、こう捉えてもいいのかな。

「好きです」

彼の言葉が、胸の中で広がる。

嘘だ。

嘘だ。

嘘だ。

わたしのことなんか、好きになるわけがない。

ずっとずっとそう思ってた。

誰といても。

だけど、今、信じたくて仕方ない。

彼の言葉を。

本当だったらいい。

本当ならいい。
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