みんな、ときどきひとり
そっと、手を差し伸べて彼の手に繋ぐ。
「わたしも、好きだよ」
そう言うと、彼が目を逸らした。
「ていうか、暗闇でわからないと思いますけど、俺、今すげえ顔赤い」
顔を右手で軽く押さえて、下を向く。
暗い街灯でも、照れているのがわかった。
その仕草が、今まで見たことのない水城くんで。
可愛くて、またわたしをドキドキさせる。
きっと、わたしの知らない彼がたくさんいる。
過去も、今も、これからも。
それでも、胸は震えて、彼に近付きたくなる。
ゆっくりでいいから、彼の話を訊こう。
わたしの見たことのない君の話を。
すごく楽しい時間になるだろう。
それでも、きっと、理解出来るとは簡単に言えるわけないけど。
それでも、一緒にいたいと言えるよ。
だから。