みんな、ときどきひとり
出かけ間際に、ダイニングに行くと、母が、ホットケーキを食べていた。
母は、あれから何も変わらずに、弟を可愛がって生きている。
別に、母を変えたいとか、そんなことは思ってもいないけど。
なにかを求めるのはもうやめた。
人は簡単には、変わらないと思う。
「おいしいわね、これ」
ぽつりと母が、こぼした。
「粉混ぜて、焼いただけ」
「そうね」
だから、また苦しくなることもあるかもしれない。
そういうときは深呼吸する。
わたしを意識してみる。
大好きなことを考える。
なにが正しいかわからないけど。
ううん。
そもそも正しいなんて必要ない。
それは苦しさしか生まない気がするから。