みんな、ときどきひとり
「そういえば小さい頃、作ってくれたわね」
「うん」
だけど、人は変われないわけじゃないとも思う。
わたしが変われば、見える世界が違うのだから。
「いってきます」
「いってらっしゃい」
だから、高校生のわたしは、また今日もこの扉を開けて学校へ向かう。
今日のなにかに出逢う為に。
大好きな人達に会う為に。
そこから、なにに気づくことが出来るのだろう。
なにを感じることが出来るのだろう。
家を出ると見覚えのある、後ろ姿があった。黒い髪の、あの人。
「おはよう」
その声で、白い息を吐きながら、振りかえった。
「おはようございます」
「お出迎え?」
「今日、誕生日でしょ?」
「うん」
自然と手を繋ぐ、わたしたち。
わたしの大好きな人。