みんな、ときどきひとり
その日の夜の亮太の興奮冷めやらぬ電話の声は、今でも思い出せる。
「楽しかった」とか「可愛かった」とか言って同じ話を何度もしてきた。
だけど、そんな話は聞いてない顔で、梨花に電話で探りをいれた。
「亮太とどうだったの?花火?」
「うん。楽しかったかな。意外に話しやすかったし」
亮太が緊張して、梨花と2人きりでなにを話していいかわかんなくなったことを知っている。
「亮太、梨花のこと好きなんじゃないの?」
「まさかー。ないない。優菜のほうが仲いいじゃん。優菜のこと好きなんじゃないの?」
亮太に田口は話しやすくて楽だと言われた。
「あり得ないよ。あいつと恋愛とか想像するときもいし。てか、梨花は亮太のことどう思う?」
「えーっ?どうって?友達かな。それ以上は……ないかな」
亮太には悪いけど、ほっとした自分がいた。
亮太が振られてしまえばいいと、わたしは思っていたんだ。