みんな、ときどきひとり





放課後、日直だったわたしは日誌を持って北校舎の2階にある職員室へと向かった。

職員室へ入り先生の席へ行くと誰もいなかった。机の上に日誌を置いて、早く帰ろうとドアをスライドさせた。

「わっ」と思わず声をあげてしまった。

真正面に、わたしと同じくらいの背の男の子が立っていたからだ。危なくぶつかるところだった。

「ごめんなさい」と言ったわたしに、彼は頭を軽く下げた。

少し長めの前髪で表情はよく見えなかった。

なんかこの感じどこかで、と思いながら、視線を彼へと向ける。デジャヴみたいな感覚にかられた。

なんて気のせいか。

廊下へと足を一歩踏み出すと滑りそうになった。思わず足元を見る。


小さいピンクの便箋らしきものが落ちていた。これで滑りそうになったのか。


拾うと、くまのキャラクターの便箋だった。確か、最近話題のゆるキャラ。くーまだったっけ。
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