みんな、ときどきひとり

表を返すと、『水城くんへ』と、すごい綺麗な文字で宛名が書かれていた。

女の子が書いたのかな。

そして宛名は明らかに男の子の名前。

てことは、もしかしてこれはラブレター?

いやいやいや。ラブレターってこのご時世、なかなか聞かない話だよね。

ただの手紙かな。

って、どうしよう。

詮は切られてないし、差出人の名前も書いてない。

かといって中を見るのは失礼だよね。

スイジョウくんへ……って読むのかな?

名前聞いたことないな。何年生だろう。

でも、わたしが捜してまで届けに行くのもおかしいか。

一人で悶々と手紙とにらめっこしながら考えていると、「あの」と後ろから声がした。

驚いて「はいっ」と上擦った声を出す。

無造作に手紙をブレザーのポケットに突っ込んだ。
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