みんな、ときどきひとり

「なに笑ってるんですか」

仏頂面が更に不機嫌色に染まる。

「ううん。なんかわたしみたいだなぁと思って」

「わたしみたい?」

「うん。わたしもよく怒ってるの?って訊かれるんだよね。その度、目つきが悪いからとかこういう顔なんですとか言い返すんだけどさ」

彼がわたしの目をじっと見つめた。

「一緒にしないでくださいよ」

「ああ、ごめん。そういうつもりじゃなくて」

どうやら怒らせてしまったらしい。

やっぱりわたしの目と一緒にされたら嫌なのかぁと思うと、それはそれで少しショックだ。

「全然、そんな目してないですよ」

彼の答えが意外すぎて、一瞬返す言葉が浮かばなかった。

「ええっ!本当に?自分で見てもつり目なのにな」

両指をこめかみの上に乗せて引っ張ってみる。わたしもキツネみたいかもしれない。

「自分で見るだけじゃわかんないですよ」

素っ気なく答えた声なのに、なぜか優しく胸に響いた。

その言葉に対処出来ず、一人ドギマギしてしまう。
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