みんな、ときどきひとり

あれ?ってなに?周りを少し見渡したあと、もう一度その男の子を見てみた。キャップを被って、大きな体。知らない顔。

変な空気を感じながら、軽くキツネ男に頭を下げた。その瞬間、一緒にいた男子が興奮したような声でキツネ男に話しかけた。

「えっ?なになに?知り合いなの?まじ?早く言えよ。ありえねぇーし!まーじ、ありえねっし!」

知り合いってわたしのことを指してるのかな。何でそんなに驚いているんだろう。そのリアクションに驚いて固まってしまった。

そんなわたしにかまうことなく、学ランの男子は近づいて、明るく話しかける。

「あっ。どうも。俺、修(シュウ)の友達で、タローです。ほんとは総太郎(ソウタロウ)なんだけど。タローって呼んで下さい」

「は、はぁ」

「お名前なんですか?」

「えっ?名前?えーと、優菜ですけど」

修って言うのはキツネ男の名前なのかな。とりあえず当たり障りなく挨拶をするけど、勢いに押されてオドオドしてしまう。

「優菜ちゃんって言うんだ。よろしく。いくつなんすか?」

「17だよ。3年だけど」

陽気に右手を差し出してきた。どうやら握手を求められているとはわかるけど、握り返すには抵抗があった。

「タロー。引いてるけど」

キツネ男がタローくんに冷静に言う。

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