みんな、ときどきひとり

「ああ、もうわかったよ。付き合うよ。うん。行こう。行こう」

タローくんが気づいていない険悪な雰囲気を壊すべく仕方なく行くことにする。お人よしだなと自分でも呆れた。

「よっしゃ!あとでなにかお礼します!」

ご機嫌なタローくんを横目に、キツネ男は変わらずテンション低め。

さっきまで、見ず知らずの人だったのに何でこうなるかな。変なことに巻き込まれてしまった。

「2人はどんな友達?」

向かいながら、訊く。タローくんどころか、キツネ男のこともよく知らない。

「タローとはバイトが一緒なんです」

「バイト?なにしてるの?」

「駅前のファミレス。トムボーイですよ」タローくんが明るく答える。

「薬局の隣の?」

「そうっすよ」

「わたし、そこの近くの予備校行ってるんだけど、何回かトムボーイにも行ったことあるよ」
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