みんな、ときどきひとり
「2年まで一緒だったから、今年も同じクラスかと思ったけどな」
「だね。男クラと女クラじゃ、一緒になりようにないもんね」
「なあ」と、言って、またふふっと口元が緩んだ。
「なに笑ってるの?」
「いや、田口のさっきの顔を思い出して。ぶっ……はははははは」
糸が切れたかのように亮太が笑いだした。
「そんなに笑う?」
「だって、ボールが……ひゃははは」
「痛かったんだけど。むかつくな。絶対、教科書貸さない」
それを聞いた亮太が急に猫なで声に変わる。
「うそうそ。田口さま貸してくださいな」
「嫌だ」
「そんなこと言うなよな。ケーチ」と、亮太は猫撫で声をやめて、柴犬みたいな顔で笑った。