みんな、ときどきひとり

「お待たせさまさま」タローくんがピンクの紙袋を持って、笑顔でやって来た。

「なに買ったの?」

「ハートのネックレスっす。ピンクの小さいダイヤがついてるやつ。いや、優菜さんのお陰でいいの買えましたよ」

「それなら良かった」

何もしてないけどと、心の中で呟いた。

「食べたいのあります?奢りますよ!」

「特にないし。いいよ、気にしないで」

かぶりを振る。

「いやー。無理矢理つき合わせちゃったから。悪いですよ」

意外にも無理矢理つき合わせてしまったと思っていたらしい。

「うん。もう帰るし、大丈夫」

「そうすか」

少し残念そうな顔をしたと思ったら、キャップを外した坊主頭に手を乗せて、閃いたような顔で「あっ」と言った。

「来週の日曜日、Kランド行くんすけど。優菜さんも行きません?修と、あとバイトのメンバーと俺の高校の友達来るんですけど。今5人しかいなくて」

Kランド。懐かしい響きだ。

県内にあるお菓子をテーマにした遊園地で、絶叫マシンよりもお菓子の家のアトラクションとか少しメルヘンチックな子供向けのものが多かった気がする。

小さい頃、家族で何度か訪れたことがある。
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