みんな、ときどきひとり

段取りが悪いと思いながら、机の上を探す。

ない。どこに置いたっけと自分の記憶を辿りながら机の周辺を探した。

だけど、タイミング悪く携帯の着信音が鳴り響いた。

水城修と。

話さなきゃいけないと思うと、嫌がらせの電話みたい。

「はい」

「先輩?」

「おはよ。どうしたの?」

「おはようございます。待ち合わせの時間が10時じゃなくて10時半に変更って言われたんで。それだけです」

「あっ、そうなんだ。なんかあったの?」

「腹下したみたいです。タローが」

「ははは。ほんとに?30分、時間ずらしただけで間に合うかなぁ?」

少し笑ってしまう。

「どうですかね。まあ、来なかったら置いていけばいいんじゃないですか」

「ひっど。いちばん張り切ってたのにね。可哀そう」

「無理矢理誘うから、たたられたんじゃないですか。じゃあ、それだけなんで」

用件だけ伝えたかったのか、早々に電話を切られた。

電話でも変わらないな、こいつ。
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