みんな、ときどきひとり
授業が始まり、英語の教科書を広げた。
ゆっくり顔をあげると、視界の端っこに梨花の背中が見える。ふと昼休みのことを思い出してしまう。
「優菜は理想が高いんだよ」と、梨花が言った。
「理想?別に高くないと思うけど」
「だって、わたしなんか、理想ないっていうか、告られて付き合ってみたら好きになったりとかするよー」
彼女の長いまつげに大きな瞳がじっと見つめる。
「そうそう、とりあえず付き合ってみたらいいじゃん」
美和子も同調した。
それはいつもの恋の話で、彼氏が出来ないわたしへのアドバイスだった。
ちなみに梨花は、友達の紹介で知り合った社会人の男性が今気になっていて、美和子は、3年付き合った彼氏と別れるか悩んでいる。
お互いの悩みは違うのだけれど、なんとなく、わたしだけ、寂しいものがある。
そして、今回もいいこと思いついた顔で梨花がにっと笑って言ったんだ。
「じゃあさ、合コンしようよ」