みんな、ときどきひとり
ゆっくりと目を開けると窓の外を見つめたままの水城くんがいた。
「あれ?願い言した?」
「ああ、しました」
ぶっきらぼうに水城くんは言う。
「本当に?」
疑いのまなざしで彼を見る。
「本当です」
「なに願ったの?」
「言いません」
「ケチ。あっ!わかった。子供に好かれますようにとかでしょ?」
「まさか」
「違うの?そうですか。当たらないなんてつまんないな」
ふて腐れると、水城くんが無言でわたしの顔を見つめた。
その瞳は優しく見えるようでどこか悲しくも見えて、透き通って色がないみたいだった。
そして表情を変えずに黙ったままそっと手を伸ばし、わたしの頭を撫でた。
そっと優しく。
「なに、してるの?」
彼を見つめたまま言った。
捨てられた子猫を撫でるみたいに、そっと。
傷つけないように、優しく。
こんな風に人に触れられたことがない気がした。