みんな、ときどきひとり

「先輩が、子供みたいで」

「馬鹿にしてるんでしょ?」

「そんな顔してました」

「子供嫌いなんでしょ?」

「好かれないだけです」


ああ。ほんとに。

わたしの住む町は小さくて。

観覧車の高さから見下ろしてもこんなに小さくて。

観覧車の上にある雲から見下ろしたらきっともっと小さくて。

きっと彼氏がいなかったりとか親とうまくいってなかったりとか。

わたしが悩んでいることはそれ以上に小さくて。

きっとあってもなくても変わらないんだと思う。

どうでもいいことなんだと思う。

この広い世界に比べたらわたしなんて小さいんだけど。

きっとあってもなくても変わらなくて、どうでもいいことで。

それでも小さくても生きてるからこうやって小さいことが辛くて。

消えたくなる。

でも、きっと小さいから。些細なことで救われたりするんだと思う。

人の手は冷たくてつきはなしたり壊したりするけど。

人の手は温かくて優しくて触れることができたりする。

そのくらい、わかっている。

だけど。

ねえ。

そんなの、なかなか見っかんないんだよ。
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