みんな、ときどきひとり

「あっ、そうよね。忘れてたわ」

「いいよ。3人で行ってきたら?留守番くらいできるから」

「そうね。大も行けるといいわ」と言って、また鼻歌を歌う。

「そういや、今日Kランド行ってきたんだけど」

「Kランド?ああ、懐かしいわね。昔、よく行ったわね」

「小学校以来だった。あのさ、お母さんとお父さんと3人で初めて行ったのってさ……」

「あっ、そうそう。初めて大を連れてった日、まだあの子が小さかったから、全然乗り物乗れなかったのよね。駄々こねて大変だったっけ」

身長制限で、乗りたかったジェットコースターに乗れなくて、駄々をこねて大泣きした大を思い出した。

「そんなことあったね」

「そうそう。それから大が迷子になって探したのよね。懐かしい」

穏やかな口調でフフフと笑った。「そうだね」と言って、廊下に出た。

「そう言えば、どこで見つけたんだっけ」という声だけが聞こえた。
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