夢の中の少女
 ため息をついて振り返る。
 すると、テーブルの上にある紙に気づいた。

『ごめんね。冷蔵庫には何もないと思う。
 ここにお金おいてあるから、何か買って食べてね。
 梨穂(りほ)はもう今日で15才だから大丈夫よね?
 誕生日おめでとう。
 お母さん今日は朝早く仕事があるから、忙しくてご飯作れなーーー……』

 内容がだいたいわかった私はそこまで読んで紙を置くと、お母さんの紫色の傘と、置き手紙に添えてあった今では珍しい二千円札を手にとった。

 …実はちゃんと自分の傘もある。
 だけどその傘、あの夢で私と女の子が使ってたのと全く同じ、水色の傘なんだよね。

 いつもはその水色の傘を使っているけど、あの夢を見た今日は…使いたくなかったから。
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